シンクワイアのエグゼクティブ・コーチングを体験した経営者の声をご紹介します。
守秘義務のため社名等は記載しておりませんが、実際に起きた変化や成果をありのままにお伝えします。

見る力を取り戻す〜思考を整理することで、世界が違って見えた〜

K社長|化学素材メーカー(上場企業)|社員数:約40,000名

ある時から、会議で話を聞いていても、どこか風景がかすんで見えるようになりました。
人の言葉の意図や、数字の背景にある現実が、以前のように“立体的”に感じられなくなっていたのです。
「感度が鈍っているのではないか」と思ったことが、コーチングを受けるきっかけでした。

私はこれまで、情報を早く集め、速く判断することを大切にしてきました。
ところが、ある日コーチから投げかけられた質問が心に残りました。

「社長は“情報”を見ていますか、それとも“現実”を見ていますか?」

私はいつの間にか、数字や報告を「正しいもの」として受け取り、自分の目で確かめることを減らしていたのです。

それから、会議や報告の受け止め方を少しずつ変えていきました。
報告書の数値を見る前に、「その数字が生まれた背景」を聞くようにしたのです。

営業担当役員に「この売上の変化には、お客様のどんな感情の動きがあるのだろうか」と尋ねたとき、彼が語り始めたのは、契約データには現れない“顧客の迷い”でした。
その一言が、私達に大きな気づきを与えました。
数字の裏には、必ず人の行動と感情がある。
それを感じ取らない限り、目を閉じて経営判断を行っているようなものだと痛感しました。

社内の議論の聞き方も変わりました。
同じ事実を語っているようでも、人によって景色がまったく違うことに次第に気づきました。
その違いこそが、組織の創造力の源泉なのだと感じるようになりました。

不思議なもので、そうした聞き方を続けるうちに、
意見の背景にある意図や情景が見えるようになった気がしてきました。
数字と人の表情、戦略と現場の声が、線でつながって見えるようになりました。

コーチングを通じて得たのは、「判断力」よりも「観察力」でした。
経営とは、決める前に、まず“見抜く”こと。
今では、そう考えています。

考えることに自信があった私が揺さぶられた瞬間

A社長|急成長するIT企業(非上場)

私は若い頃から「考える」ことが好きで、自分の思考力には人一倍の自信を持っていました。経営者となってからも、日々の意思決定や戦略立案において「十分に考え抜いている」と信じて疑わなかったのです。

そのため、経営者仲間からエグゼクティブ・コーチングを勧められても、正直なところ「今さら新しい気づきなど得られるはずがない」と思っていました。

ところが、実際にコーチから投げかけられる質問に向き合ってみると、自分では当然だと信じてきた前提や、当たり前と思い込んでいた視点が次々に揺さぶられました。
考える習慣自体は身についていたものの、その方向性や範囲には驚くほどの偏りがあったのです。
その事実に気づいた瞬間、衝撃と同時に大きな解放感を覚えました。

エグゼクティブ・コーチングは、単なる助言や相談ではありません。自分の思考の限界を自覚させ、その壁を超えるための強力な装置です。
そこで得られる気づきは、個人の変化にとどまらず、組織の空気や成果の質そのものを変えていきます。
私自身が変わることで、組織の議論はより深く、意思決定はより確かになり、リーダーたちの自律性も高まりました。

経営者は孤独だとよく言われます。
しかし、良質な質問を通じて自分自身を徹底的に見つめ直すとき、その孤独は「未来を切り拓くための力」へと姿を変えます。
今では、コーチングは私にとって経営の中心にある「問い直しの場」であり、欠かせない存在となっています。

不確実性への対応力が高まった

M社長|食品製造業(上場企業)|社員数:約30,000名

海外市場の急変、物流コストの高騰、為替の乱高下——。
経営の現場では、「想定外」はもはや日常です。
だからこそ私は、スピードを最優先に、考えるより先に“動く”ことを信条としてきました。
「想定外を考えるのは時間のムダだ」と。

しかし、コーチングを通じて一つの発想転換が起こりました。
それは、「反応するのではなく、対応する」という考え方。
印象に残っているのは、ある日のコーチの質問です。

「リスクを“防ぐ”のではなく、“使う”としたら、どんな経営になりますか?」

最初は意味が分かりませんでした。
けれど考え続けるうちに、リスクを“変化の予兆”として見る視点に気づきました。
リスクを敵ではなく、未来へのサインとして捉えれば、そこから新しい選択肢が生まれる。

たとえば、原材料価格の高騰をきっかけに、国内産地との契約を見直しました。
結果として、サプライチェーンの柔軟性が格段に向上しました。

しだいに私は「不確実性への耐性」は“情報量”ではなく、経営陣や社員の“思考の構造”にあると思うようになりました。
今では、どんな変化が起きても、「この状況をどう使うか?」と自分や社員に質問するようにしています。

「本当にやるべきこと」に気付いた

T社長|ITサービス企業(非上場)|社員数:約1100名

私は、何でも自分でやるタイプの経営者でした。
新規事業、採用、広報、営業——興味を持ったことはすぐに自分で動かす。
「社長には敵わない」と言われることが、誇りであり、原動力でもありました。

ところがある日、役員会で皆の顔を見ていて、ふと違和感を覚えたのです。
「この会社が伸び悩んでいるのは、もしかして自分のせいではないか」と。
業績は悪くない。けれど、どこかで頭打ちになっている。
社員が成長しないのではなく、私が“手を離せていない”のかもしれない——そう思いました。

そんな時、たまたま本で「エグゼクティブ・コーチング」という言葉を目にしました。
興味本位で調べていくうちに、シンクワイア株式会社のサイトに出会いました。
「経営者の内面に深く働きかけ、思考の質を変える」という理念に強く惹かれました。
スキルではなく、“経営者自身の変化”を扱う姿勢に本気を感じたのです。
他社のように「やり方」を教えるのではなく、「問いの質」で思考を揺さぶる——。
「ここなら、自分の思考を根本から変えられるかもしれない」そう思い、依頼を決めました。

コーチングを始めて1か月ほど経った頃、コーチからこんな質問を受けました。

「あなたが“関わること”と、“会社の成果”は、どんな関係がありますか?」

私は即答しました。
「私が関わるから成果が出るんです」と。
するとコーチが静かに言いました。

「本当ですか?」

その一言で、思考が止まりました。
——もし、自分が関わらないほうが会社がうまくいくとしたら?
そんな発想を持ったことは、一度もありませんでした。

私は次第に、「自分が関わらない実験」を始めました。
週に一度、役員と“手放す会議”を開き、どこまで任せられるかを話し合いました。
自分がやるべき領域と、任せる領域を明確に分けていったのです。
このプロセスは意外にも楽しいものでした。

もちろん、最初は不安だらけでした。
「大丈夫だろうか」と口を出したくなる場面が何度もありましたが、あえて我慢しました。

数ヶ月後、気付いたのは——私がいなくても会社は動く、ということ。
そして、関わる時間を減らしたことで、これまで“手薄”だった領域が見えてきました。
それこそが、私が本当に取り組むべき仕事でした。

経営者の仕事は“全部に関わること”ではない。
私にとっては、「方向を示すこと」と「人を育てること」に集中することが、本当の仕事だとわかりました。

コーチングを通じて私が得た最大の学びは、“やらない勇気”です。
これは簡単なようで、最も難しく、そして最も価値があるものでした。

最近は、週の予定を可能な限り「自分しかできない仕事」だけで埋めるようにしています。
思考に余白が生まれ、未来を考える時間が増えました。

今の私は、社長のリソースは“過去の延長”ではなく、未来の優先順位によって配分すべきだと考えています。

未来を考えるヒントを手に入れた

S社長|精密機器メーカー(上場企業)|社員数:約12,000名

私は長い間、「成果を出し続ける経営者でなければならない」と自分を追い込んできました。
数字を上げること、競合よりも早く動くこと——常に“結果”を優先してきたのです。
その一方で、目の前の課題には即座に対応できるのに、「未来を描く力」に関しては自信が持てない。今振り返れば、そんな経営者だったと思います。

エグゼクティブ・コーチングとの出会いは、知人の紹介がきっかけでした。
「断るよりは、体験だけでもしてみるか」——それくらいの軽い気持ちで始めたのです。
体験セッションの最初の質問を、今でもはっきり覚えています。

「あなたが3年後に社会に与えていたい影響は何ですか?」

私は事業計画やKPIの話を始めました。
するとコーチが穏やかに言いました。

「“あなた”が、3年後に“与えていたい”影響は何ですか?」

その瞬間、驚きました。
質問にではなく——自分の“望み”を問われていることに気づいていなかった自分に、です。

もっと自分の感情を言葉にしてみたい。
そう思い、体験セッションのコーチと定期的な対話を続けることにしました。
「月額制でいつでも辞められるし」と軽く考えていましたが、いつの間にか私にとって大切な時間になっていました。

私は何者なのか。
何を強みとし、どんな価値を社会に届けたいのか。
どんな瞬間に心が震えるのか。
コーチとの対話を重ねるうちに、「未来を描く」とは、私が本当にやりたいことにアクセスすることなのだと気づいたのです。

最近の私は、日々の中で“未来”を意識するようになりました。
役員会でも、自然と「時間軸の長さ」を意識した会話が増えました。
これまでは「点」でしか考えていなかったのかもしれません。

会社のビジョンとは、経営者自身の内面を映し出す鏡のようなものだと感じています。
どんな未来を描くかは、どんな自分でありたいかと深くつながっているのだと思います。
社員が「会社のビジョン」と「自分のビジョン」の両方を語れるようになると、組織のエネルギーは確実に変わります。
そんな当たり前のようで見落としていたことに気づけたのは、エグゼクティブ・コーチングがあったからです。