2つの「承認」を理解することの重要性 HINT

2つの「承認」を理解することの重要性

2つの「承認」を理解することの重要性

行為を認めるのか、存在を認めるのか

「誰かに認めてもらいたい」と望む一方で、「自分が誰かを認める」という行為は、つい疎かにしてしまう場面も多いのではないでしょうか。実際に、上司、同僚、家族や友人との関わりに悩むクライアントにコーチングを行う際、「あの人は自分を認めてくれない」といった言葉を耳にすることがあります。しかし、本当に認めていないのかを本人に確認してみると、「認めているし、それをちゃんと伝えているつもりだった。そんな風に思われているとは知らなかった」と驚かれるケースが少なくありません。

その背景には、「行為承認(Recognition)」と「存在承認(Appreciation)」の2つの承認の違いを理解していないことが挙げられます。今回はその2つの承認の違いと傾向について考えていきたいと思います。

2つの「承認」とは

英語で「承認」というと、「Recognition」と「Appreciation」の2つに明確に区別されますが、日本語ではどちらも同じ意味として意識的には分類されずに使用される傾向があります。

•Recognition(行動承認):相手の行為を認めること。特定の行動や成果を褒めたり、表彰したり、昇給するなど、相手が過去に行った行為に対する承認。
•Appreciation(存在承認):相手の存在を認めること。話を聞く、相手の名前や話した内容を覚えている、相手のために時間を取るなど、日常的な場面で行われることが多い。相手が「行ったこと」に対してではなく、相手の価値に対する承認。

どちらの承認が良い/悪いというわけではなく、人が認められていることを実感するためには、両方の承認が必要不可欠です。しかし、欧米では別の言葉として整理されているため、RecognitionとAppreciationの使い分けが行いやすい一方、日本語では明確に分類されていないため、人や場面によってどちらか一方の承認に偏ってしまう傾向があります。

「Recognition」に偏りがちな日本人

日本文化では、集団行動の中で一人の個人を過度にほめたり認めたりすると、「全体の調和を乱すリスクがある」と見なされることがあります。組織、学校、チームなどコミュニティの場面では特に、「個」よりも「集団の調和」が重視される文化であるがゆえに、「個としての存在を認める承認(Appreciation)」よりも、「全体の調和のために行った行為への承認(Recognition)」が多く行われてきました。

Appreciationが軽んじられていたわけではなく、「全体への調和に貢献したあなたの行為を認める(Recognition)」ことがそのまま「個人の存在価値を認める(Appreciation)」ことに繋がっていたため、この2つを敢えて区別しない傾向があるのではないかと言われています。

しかし、欧米から取り入れられた人事評価制度などは、行為/結果への評価(Recognition)が重視されていることが多いため、評価制度に則ってRecognitionを行う傾向があります。「Recognitionを行っているので承認は十分足りている」と捉えてしまい、結果としてAppreciationが疎かになってしまう傾向があります。

自分の承認の傾向にアンテナを張ること

「人に認められたい」という人間の根底にある欲求が満たされるためには、行為を認めるRecognitionだけでは足りず、その人自身の価値を認めるAppreciationが必要不可欠です。チームメンバーや家族/友人に対して「こんなにこの人のことを認めているのに、なかなか伝わらない」と感じる時、「その人が行ったこと」への承認ばかりを伝えてしまっているのかもしれません。

「その人がいることであなたや周囲にどんなポジティブな影響があるのか」というAppreciationを意識的に伝えることが、自分自身の価値が周囲に認識されているという認識を与え、より良い関係を築く第一歩に繋がるのではないでしょうか。