経営者が「成長」を認識することの重要性 HINT

経営者が「成長」を認識することの重要性

経営者が「成長」を認識することの重要性

「10年前の自分」と「今の自分」を比べ、この10年間で、自分の何がどのように成長したのか。この質問にスラスラと答えることができる人は多くありません。

「成果」に比べると、「成長」は自分で認識し難い傾向があるからです。

そこで私達コーチは、ほんのわずかな成長でも、できるだけ見逃さず、クライアントに伝えようと心がけています。自分が望んでいた方向に向けて「成長した」という認識は、自信につながり、次へのモチベーションになるからです。 私達が「成果目標」だけでなく「成長目標」も設定しようとするのは、「自分自身の成長を認識する」ためでもあります。

コーチングの「成長目標」がもたらした社長の変化

ある上場企業の社長は、自分の意見が通らないと顔色を変え、腕を組んだまま黙り込んでしまうことがありました。エグゼクティブ・コーチが他の役員にインタビューを行ったところ、その姿が経営会議の心理的安全性を脅かし、オープンな意見交換や創造的な問題解決を妨げている可能性がある、と社長は気付きました。

そこで社長は、「自己認識を向上させる」「感情をコントールする」「積極的に相手の意見を聞く」といった「成長目標」を5つ設定しました。

その後の社長の変化は、会議の雰囲気を一新しました。社長が積極的に意見を求め、耳を傾ける姿勢を見せることで、他の役員も自由に意見を交わすようになり、結果としてより創造的で実践的な解決策が生まれるようになりました。

6か月後、再びコーチが役員に行ったインタビューでは、多くの役員が「社長の変化」に気付いていました。
しかし、このインタビューの結果を最も驚いたのは社長本人でした。
社長自身は「手応え」をあまり感じていなかったからです。

定量的に測定することが難しい変化や、ゆっくりと時間をかけて起こる変化、そして自分自身の内面の変化はわかりにくいことがあります。

変化がわかりにくいと、「手応え」を感じにくいのです。

この社長は「成長目標」を設定していたからこそ、その目標を達成したかどうかを確認するインタビューを行うことができました。そしてその結果を伝えることができました。

「手応え」を感じた社長は、「成長目標」として設定したことを、その後も継続することにしました。

クライアントが成長を感じることができるようにアレンジする。
これもエグゼクティブ・コーチの大切な役割の1つなのです。